Technology 施工・調整・分析技術

施工・調整・分析技術

三建設備工業では、お客様の建物用途やライフサイクルに応じた設備システムをご提供しています。気流・エネルギーシミュレーション等により事前検討して設計した設備システムは、IoTを利用した施工技術と確かなコミッシング技術により最高のパフォーマンスを発揮することが出来ます。また、経年劣化に伴う設備診断技術等も長年の経験とたゆまざる研究により体系化して保有しています。

施工技術

BIMを活用した施工管理への取組み

三建設備工業では、設計から施工段階まで一貫してBIMデータを活用することで、早期の合意形成、技術計算、シミュレーション(気流解析)、積算を行い、施工段階での手戻り削減に繋がるフロントローディングに力を入れています。また、BIMに付加した設備機器情報を使用してFMシステムとの連携を進めています。
このように、設計、施工、保守、各段階でBIMのツールを使用して連携を行い、BIMのデータベースを利用してデータ連携し、施工品質および生産性を上げる取組みを行っています。

水資源の有効利用及び水処理技術

水の再利用や適切な水質管理により節水と省エネを推進

地球は地表の7割が水で覆われていますが、私たちが利用できる淡水はごくわずかしかありません。三建設備工業は、水の再利用や節水に取り組むことで、環境負荷やランニングコストの低減に努めています。そして、冷却水やボイラ水の水質の適切管理により、スケール形成抑制によるエネルギー効率の低下防止や防食効果による設備の耐久性向上を目指し、省エネルギーやライフサイクルコスト削減を図ります。また、プールや温泉などのレクリエーション関連施設では、プールや浴槽などの衛生的な環境を保持し、来訪者の方々に心地よい環境を提供できるような提案を行っています。

調整技術

試運転調整

目に見えないロスを事前につきとめ省エネと快適を実現

建物の空調設備システムは、様々な機器・器具を配管やダクトで接続することにより構成されています。さらにこれらを連携して動かすために数多くのセンサーや制御機器が設置されています。
全体が一つのシステムとしてきちんと機能するためには、すべての接続が完了した後に、各所を流れる水量・風量や供給温度を所定の状態に合わせていく必要があります。ここにシステム調整の必要性があるのです。
三建設備工業では、自社の専門スタッフがシステム調整に携わっています。空調機器や制御機器を動かす自動制御に精通したスタッフが、建物全体の設備システムを把握した上で、求められる室内環境を維持できるようにシステムを調整しています。
設計・施工からシステム調整・アフターサービスに至るまでの技術をすべて自社内に保有するという責任姿勢が、三建設備工業のこだわりであり、スタイルです。

快適性を保ちつつ、省エネ性を確保するために

建物には、さまざまな設備システムが存在しますが、いずれのシステムも最終的には要求される室内環境の維持が求められています。室内環境維持は、水量・風量を所定の状態に合わせることで確保されますが、単に数値を合わせるだけでは、システムとしての非協調動作、あるいはオーバースペックによる非効率な運用など、様々な「トラブルと言えないトラブル」が起こっていることも少なくありません。このような見えないトラブルは、機器の過剰運転やムダなエネルギー消費として、最終的にお客様の負担として現れてきます。三建設備工業は、システム調整により、初期の不具合やエネルギーロスによる将来的なコスト増を排除し、室内環境維持と省エネ性の両立に努めています。

「コミッショニング」の概念に基づく徹底検証姿勢

パリ協定の批准、新築建物に対する省エネ基準適合の義務化など、地球温暖化対策に対する要求はますます加速しています。必要な室内環境を、いかに小さい環境負荷で実現するかということが、社会的にも求められています。
長くシステム調整を手がけてきた三建設備工業では、早期にコミッショニング(性能検証)の概念を取り入れ、他に例を見ないほどの経験と実績を自社内に保有し、環境負荷低減に努めています。様々な省エネルギー手法を単体で構築するのではなく、納入された設備システム全体が最適なパフォーマンスを発揮できるように、入念なシステム調整を行っています。

分析技術

シミュレーション

三建設備工業は快適な室内空間を作り上げるために、室内の風速及び温度分布を予測する「室内気流解析」を行います。室内の風速及び温度分布を明らかにすることによって、最適な空調システムを施工することが可能となります。一方、地球環境を保護するため、建物のエネルギー消費を最小限にしなければなりません。建物の空調システムは通常、熱源機器を含む多くの機器によって構成されます。異なるメーカーの機器をひとつの空調システムとして運転する際に、常に変動している気象状況及び建物の使用状況によって、個々の機器のエネルギー消費が変化します。三建設備工業では、建物の空調システムのエネルギー消費量を予測する「エネルギーシミュレーション」技術を保有しています。エネルギーシミュレーションにより、設計段階だけではなく、運用段階においても空調システムの高効率化が可能となります。

室内の熱流体解析

空調によって形成される室内環境は負荷条件、吹出空気の温度や風量、制気口の位置によって異なります。
気流解析は気流や温度をはじめとする環境分布を予測することが可能であり、体育館や劇場などの大空間、病院の手術室やクリーンルームといった高品質の空間、またホテルの客室をはじめとするアメニティ施設などの計画・検討時に実施しています。気流解析を実施することにより、室内の快適性や必要な機能を維持しながら、省エネルギーを図る空調システムを提案しています。
また放射熱の効果を考慮した解析により、放射空調による室内環境や快適性を評価することができ、設計計画に反映しています。

エネルギーシミュレーション

建物の空調システムは通常、建物の冷房及び暖房の最大負荷によって設計されます。しかし、実際の運転ではほとんど部分負荷の状況となり、年間で最適な運転が行える空調システムが重要となります。
三建設備工業では建物の年間における空調負荷やエネルギーのシミュレーションに基づき、部分負荷時の運転をふまえたエネルギー効率の高い空調システムを提案します。
また熱源制御に構成機器の運転特性に基づくシステムシミュレーションを導入することにより、刻々と変動する負荷に対して、システム全体のエネルギー消費量が最小となる各機器の設定を逐次計算し、最適運転制御を行うことが可能となります。

配管診断

蓄積された情報と高度なノウハウから多様な配管トラブルを診断・解決

建物の設備には、その目的や用途に応じて多種多様な配管が使用されており、配管の中を流れる流体も様々なものがあります。空調設備であれば熱の搬送、給排水衛生設備では水・湯・ガスなどの供給、排出が主な目的となります。それ以外にも、工場の生産プロセス配管や消火配管など、その種類は多岐にわたります。
建物を長年使用していると、配管系のトラブルは少しずつ増えてきます。しかしトラブルの発生状況は一様ではなく、水質、温度、配管の中を流れる速度、圧力など様々な要因が複雑に関係してきます。
三建設備工業では、長く培ってきた水に関わる設計・施工・保守技術と事例の数々から、体系化が遅れているとされる配管設備トラブルに関する技術情報を蓄積しています。予防保全まで視野に入れ、お客様にとって価値のある配管診断を目指しています。

空調設備と衛生設備、両面の専門家としての経験

三建設備工業では、エックス線調査、超音波調査、内視鏡調査、配管採取調査など様々な配管診断を実施しています。発生したトラブルの原因究明、再発防止のための調査のみならず、熱源機械の更新や内外装のリニューアル時に行う残存寿命予測など、高度な技術評価が必要となる場面で、状況に応じた最適な調査方法をご提案しています。
また、水質分析を含むデータ収集と解析、評価には、空調設備と衛生設備、両面のスペシャリストとしての長い歴史を有する三建設備工業ならではの蓄積された技術が生かされています。こうした精度の高い配管腐食診断・分析ノウハウの提供を通して、誰もが安心して使える設備環境の構築、維持に取り組んでいます。

配管劣化メカニズムの解明

配管診断そのものは広く行われていますが、設備システムに関する情報・知識に基づいて評価しないと、正確な診断を行えない場合があります。また劣化のメカニズムが解明されていない新しい材料やシステムが導入されていることや、配管診断の理論の体系化が未整備という背景もあり、さらに近年ではコンバージョンにより建物の用途が大きく変わるといった要素もあるため、正確な劣化予測には困難が伴います。
配管劣化メカニズムの検討や、配管設備トラブルに関する情報技術を評価し、腐食の再現実験や劣化メカニズムの検証実験を行うことで、より分かりやすく活用しやすい診断技術を探求しています。