Topics トピックス

BIM国際規格「ISO19650」において「元請受託組織」として認証を取得いたしました

2025/12/18

会社情報

当社は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の国際規格「ISO 19650」において、2025年11月24日に「受託組織(サブコンレベル)」から「元請受託組織(ゼネコンレベル)」へステータスアップ、技術統括本部として「ISO 19650-1:2018 及び ISO 19650-2:2018に準拠したBIM運用システムの開発活動を行う元請受託組織」として認証を取得いたしました。

国内の設備工事業において「元請受託組織」としての認証取得は受託組織を含めて、2025年10月時点(※)で当社が唯一となります。この認証は、当社のBIMマネジメントシステムがゼネコンレベルの管理能力を有することを国際的に証明するものです。(※自社調べ)

■「元請受託組織」認証の意義:BIMマネジメント能力の総合力証明
ISO 19650における「受託組織」が、主に発注者や元請から提示された要件に基づきBIM業務を遂行する組織(サブコンレベル)であるのに対し、「元請受託組織」は、プロジェクト全体のBIMプロセスを計画・管理・調整し、複数の受託組織を統括する、極めて高度なマネジメント能力が求められる組織を指します。
今回のステータスアップは、当社が単なるBIMオペレーションの実行に留まらず、建設プロジェクト全体のBIMマネジメントを主導し、品質管理を徹底できるゼネコンレベルの管理体制と能力を有することを、国際規格に基づき公式に証明するものです。これにより、発注者や建設会社に対し、より高度で信頼性の高いBIMソリューションを提供できる体制が整ったことを示します。

■AIの全面活用による効率的な認証取得プロセス
今回のステータスアップ認証取得にあたり、当社はAIを全面的に採用しました。これは、トライ&エラーを繰り返すアジャイル設計手法とAIの親和性が高いと判断したためです。
具体的な活用法として、CDE(共通データ環境)の運営シミュレーションにおいて、AIによるプロセス管理を導入し、適切な手順で運営されているかを検証しました。また、認証に必要なマニュアル作成においては、AIによる項目間の自動チェックや整合性の確認を実施。従来は人手で膨大な時間を要していた作業をAIが代替しました。
認証プロセスでは、単一のAIやプロンプト(指示文)に依存せず、複数のAIと複数パターンのプロンプトを用いて回答を相互チェックさせることで、精度の高いアウトプットを導き出しました。特に、AIに思考のプロセスを明示的に指示する「Chain of Thought(思考の連鎖)」や、各資料の重要度に応じて「重みをつける」プロンプト指示が、解析の精度向上に極めて有効でした。
これらのAI活用による徹底的な作業効率化の結果、認証取得活動の主体となる「元請受託組織ユニット」は、わずか2名で構成・達成するという高効率なプロセスを実現しました。

■多様な人材によるユニット編成と相乗効果
今回の認証取得を担った「元請受託組織ユニット」は、性別、年齢、キャリアが異なる多様な人材で構成されました。
メンバーの一人は、普段BIMとは直接関わりのない業務を担当していますが、その語学力を活かし(TOEIC 950点)、ISO規定書の原書(英語)の解析において、AIによる翻訳・解析結果を自らチェック・検証するという「AIと人間の相互チェック体制」を構築しました。専門分野に囚われない多様な視点が組み合わさることで、AIの能力を最大限に引き出し、精度の高い認証プロセスを実現する相乗効果が発揮されました。

■今後の展望:AI活用のコミッショニングとグローバル展開
当社は、今回のISO取得で得たAI活用の知見を、バリデーション工程やコミッショニング工程へ展開することを目指します。
特に建築設備分野では、AI技術を活用した「次世代コミッショニング」が注目されています。従来は人手で行っていた試運転や性能検証作業を、AIがセンサーやBASデータを解析し自動評価。異常検知から最適化提案、報告書生成までを自動化することで、試験期間の短縮と品質の均一化が期待されます。
さらに、2026年にはベトナムのグループ会社「SANKEN SCUBE CO., LTD.」にて受託組織としての認証取得を目指し、BIMのグローバルシステム構築を推進します。

三建設備工業は、今後もBIMとAI技術の融合を推進し、建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)と生産性向上に貢献してまいります。

トピックスのトップへ