三建設備工業と株式会社Liberaware(以下、リベラウェア)は、六本木地区の超高層オフィスビル(2012年竣工)において、小型ドローンと地上式3Dスキャナを用いたハイブリッド技術の検証により、その有効性を確認いたしました。
本技術検証は、当社が所有するLiDAR※1(ライダー:地上式3Dスキャナ)と、リベラウェア製超狭小空間点検ドローン「IBIS2(アイビスツー)」を活用し、地下4階の大規模熱源機械室を対象に実施いたしました。その結果、有効なPoint Cloud(ポイントクラウド:点群)データの取得を確認いたしました。
従来の地上式LiDARによるスキャニングでは、高精度なデータ取得が可能である一方、複雑に配置された配管やダクト上部のスキャンは人が立ち入ることが困難であるため、確認および点検には限界がありました。そこで、人が立ち入ることが難しいとされる配管・ダクト上部を「IBIS2」で撮影することで、取得した動画データに対してSfM(Structure from Motion)処理※2を行い、点群データを生成。このデータを地上式LiDARから取得した点群データと合成することで実用域での有効性を確認いたしました。
現在3名の社員がドローンパイロットとしてトレーニングを受けており、2025年8月には本技術を自社運用として開始する予定です。
三建設備工業は5月27日にリベラウェア社とのハイブリットスキャンシステムの運用についてMOUを締結いたしました。
■今後の展望
超高層ビルや大規模機械室といった複雑な環境での点検・確認作業において、人が立ち入れない領域も高精度な点群データで可視化できるこのシステムの有効性をさらに確立し、災害地での調査においても、業界標準となることを目指したいと考えております。
※1 「Light Detection And Ranging(光による検知と測距)」の略。レーザー光を照射し、その反射光を計測することで、対象物までの距離や形状を測定する技術。
※2 SfM(Structure from Motion)処理とは動画を複数の画像に変換し、それらの画像から特徴点を抽出し、対応関係を解析することで、3次元形状とカメラの位置・姿勢を同時に復元する技術